自主製作映画のお手伝いに行く時、何を持っていけば良い?
かれこれ、10年以上自主製作映画を作っているのですが、スタッフの人手が足りず、興味を示した全く映画の現場を知らない人にお手伝いをお願いすることも多くあります。私が現場で、監督、撮影プラスαで色々兼任してワンマンオペレーションでやろうとしているのも要因なのですが。
来て頂いた方には、マイク・照明持ちだとか、荷物番だとかをお願いしてますが「何か持っていったほうが良いものある?」と訊かれる事もあるので記事にする事にしました。
ただ、あくまで私の周囲での話なので、もっと別のものがあるとありがたいという人もいるでしょう。話半分で読んでいって下さいな。
何もここに書いてある全部を持っているからと言って無理して持っていく必要もないと思う。持って行きやすいものだけもっていけば大丈夫ですよ。
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テープ類 お役立ち頻度:★★★★★
テープと言っても色々ありますが、一般の家庭にありそうなものだとまず養生テープ。剥がしやすい緑色のものがメジャーですね。バミリなどの印をつける時等に使います。ガムテープも何かの応急処置等でも使いますね。
マスキングテープを持っていればこちらも持っていくと良いかもしれません。
撮影現場の人だと「パーマセルテープ」という剥がしやすい特殊で効果なテープ(1つ1000円前後)を身につけている事も多いですね。ただちょっとお手伝いの人がわざわざ買って持っていく必要はないと思います。
- 乾電池型充電池 お役立ち頻度:★★★★★
いわゆるエネループみたいなもの。みんな持っていっても現場にあってもなんだかんだ充電が切れてしまいます。
多く、電池を買いにコンビニ等に走る事態になる事も多々あるのでもし持っている人がいれば「自分のものと分かるようにして」回収を忘れないようにして貸してあげると喜ぶ人がいると思います。 - 油性ペン お役立ち頻度:★★★★★
上記のテープへのメモ書きや下に書く紙コップで人を区別する時等で何かと使います。ボールペンだと細いので視認性が良くないので……。
ちなみにバッグを荷物置き場に置きっ放しにすることも現場ではよくあるのでペンやテープ、電池は持ち歩くようバッグに入れておいた方が良いです。 - 紙コップ お役立ち頻度:★★★★★
人が集まる時には2Lペットボトルを紙コップに小分けして飲むというのは定番ですが、撮影の現場でもそれは同じです。
あとお手伝いでやる事ないな、という時になればコップに入れてスタッフやキャストに配ってあげるのも吉です。中には集中して水分補給を忘れている人もいたりしますから。 - クーラーボックス・保冷剤 お役立ち頻度:★★★★☆
夏にあると救われます。別にプラスチックハードケースのものでなくても、折り畳める布製のバッグでも保冷できるものでも十分すぎます。野外での撮影である程度冷たいままで飲みものがあるだけで幸せになれます。本当に。 - 虫除けスプレー お役立ち頻度:★★★★☆
夏場の野外での撮影の際には本当に必要なのですが、何かと持ってくる人が少なく、現場で買いに行く事が電池同様に多いものです。
なお10月の現場で虫除けスプレーを持っていかなかった事を後悔したので真冬以外はあって損はないと思います。 - 無線 お役立ち頻度:★★★☆☆
一般の家庭に無いものかもしれませんが、他の趣味(サバゲーとか人力飛行機とか)のために持っている人もいるだろうということで選びました。特に複数式持っていれば最低2式は持っていくと助かる場面も多いと思われます。私が無線を持っていった現場は必ず使いました。
交通整理する時、部屋の外から合図を送る時等。なければスマホで電話する事も多いですが、それよりは無線の方が勝手が良い場面も多いです。
ただ、慣れてない人が使うと思わぬトラブルが起きる事もありますので誰かに持たせる時は使い方を教えてあげましょう。あとチャンネルの設定も忘れずに。 - レンズ、マウントアダプター お役立ち頻度:★★☆☆☆
もし、写真は撮るという方ならメイキングを撮るためにカメラを持っていくかもしれませんが、余力があればレンズも少し持っていくと役立つかもしれません。
仮に現場で使うカメラとマウントがが違っていてもアダプターがある事もありますし、夜間や暗い屋内での撮影となる可能性が広角レンズや明るい大口径レンズがあればその場で「貸して!」となる事もあります。 - 工具類 お役立ち頻度:★★☆☆☆
使わないだろうけれども、車で行くし載せておくか、となんとなく電動ドリル持っていったら本当に美術の方に貸した事がありました。 - 飲食料 喜ばれる度:★★★★★
差し入れといえば食べ物、飲み物、というのは鉄板ですが、冷蔵/冷凍庫で保管しないといけないもの、すぐに食べないといけないもの等は避けてほしいところです。みんなすぐに食べられるわけではないので。屋内の現場で、冷蔵庫があれば良いのですが……。
具体的には小さめのパンや小分けのお菓子など軽くつまめるようなものが良いですね。
ざっと思いつく限りのものを羅列してみました。
普通は通常スタッフ等で用意しておくべきものばかりでは有るのですが、そこは自主製作映画です。頼れるものや力は使います(笑)。
基本的に私が誰かに手伝ってもらうのリストも兼ねているのですが、もし、何か他にあればよいものがあればコメント欄に書いておいて頂けるとこの記事を見た人に役立つかもしれません。
LUMIX AWORD 2020入賞作品「祈りを捧ぐ」制作レポート
完全に時期を逃した感もありますが、書きかけた記事があったので今更ながら放出します。「LUMIX AWORD 2020」に出品し、優秀賞を頂いた作品「祈りを捧ぐ」の制作レポートです。
こういうのを書いておけば「どうやって映像編集してるの?」という時に「これを読んで」とも案内できますし。
受賞URL: https://lumixclub.panasonic.net/smart/contest/award_20/result/
作品視聴先: Lumix Club / YouTube (以下) / Vimeo
【主な使用機材,ソフトウェア等】
・Panasonic GH5S
・Ronin-SかRonin-SC(借り物だったのでどちらか)
・Phantom 4 Pro
・DaVinci Resolve
今回は別件で撮影依頼のあった素材を利用しているので今回のエントリーに合わせて再撮影、というのはしませんでした。なお、元の映像は以下になります。ずらずらとプレビューが並びます。
今回、作品の尺が30秒以内という事だったのでまずその長さの中でいい感じに使える音楽を探すところから始めました。神社が被写体なので和風の音楽にする事は決めていたので、その中であれこれネット上を物色。本当なら仲の良い作曲家の方に「こういう音楽を作って!」と依頼できるといいのですが。
今回は「おとわび」というサイトで公開されていた「いにしえより続く街、太宰府」という曲をお借りしています。作曲者はふみこみどり様。ありがとうございます。
さて、音楽は見つかりました。尺に合わせて音楽を切り出し、その後、撮ってあるショットの中から個人的に印象深い箇所を抜き出してとりあえずタイムラインに置いておきます。大体絵の方の尺が延びてしまうので、見せたい絵を絞りつつ音楽のキリのいい所でカットしていきます。
ただ全てを音楽のリズムに合わせてしまうと音楽に映像が負けてしまうと思っているので、映像として見せたいカットの尺と音楽に合わせて映像を切るバランスを意識して編集してます。
あとここで応募するコンペの狙いにも合わせて編集します。シンプルにかっこいいカットを音楽に合わせて並べるだけで良いのか、あるいは何かしら流れを組み立ていくのか、が変わっていきます。今回のLumix Award2020の動画については「自分が伝えたいテーマを物語にして」とあったのでそれに合わせています。ただそれについてはここで言うのは野暮でしょう。
実は今回一番悩んだのが題名。友人や神社の宮司さんにもご相談して公開したものに落ち着きました。ここも上記のコンペに合わせて変えるところでもあります。
他にも「奉祀」「榊の枝に添える祈り」というタイトルも候補にあったのですが、宮司さんからは「宗教色が濃いのを嫌い人もいるから」との事で候補から外すことに。難しいですね。
もちろん総合最優秀賞を狙ってはいましたが、結果は冒頭の通り。次回もいい作品を作れる題材があれば、エントリーしたいところではありますが、そういったものに出会えるでしょうか。
ではでは。
機関車工作にBlenderを使った話
■設計
■板材切り出し図面の作成
■ディテールアップパーツの作成
・軸受け(ピローブロック隠し)


使用レジンはいずれもSKレジン様の水洗いレジンです。
Blender関係無いですが、石炭を燃やして本当に蒸気で動くフォルテの工作の状況がこちら。模型エンジンで有名な小川精機製のキット。8月からずっと作っています。(注:家です)
福堀軽便鉄道「D2」機関車製作記-壱
皆さん、楽しんでいますか!エア軽便模型祭2020!
オンライン開催だと持っていくのが大変な大きな模型でもこうして参加できるので良いですね。ライブ配信もこちらで9/20 14:00~頃から配信予定ですのでお時間ある方は合わせて是非。
さて、このイベントに合わせて我が福堀軽便鉄道の新型5インチゲージ機関車「D2」の製作記事をアップしますよ。ひとまず前の運転会に持ち込んだところまで。私の模型鉄道、福堀軽便鉄道については前記事を参照あれ。
コンセプトとかデザインとか
・愛車 スバルR2でも運びやすいように今まで車輌より小型化
・ホイルベール250mm以下にし、半径1mのカーブを通過可能
・単機でも楽しめる(車輌本体に乗って走れる)
・上記を満たしつつ機関車としても違和感がない外装
・走行装置は過去のDB10,レールバスのものを使い回す
という事を踏まえてまとまったの以下のイメージ。3DCAD、ではなく3DCGソフトのBlenderでさくっとモデリング。
単機で遊ぶ際はボンネットに人が座る事にしました。大体の寸法は長さ550mm、幅238mm、高さは線路上面から470mm。ホイルベースは余裕を持たせるために230mmにしました。
5インチゲージあるあるのナローゲージに多く見られる小型機関車の形。具体的にはプリムスHSGや魚梁瀬森林鉄道の野村式機関車あたりの雰囲気を出てきたかなと思います。
本当はもっとキャブを長く、ボンネットを短くしてずんぐりとした形にしたかったですが、単機で遊ぶ(ボンネットに座るため)ために少し長めにしました。私と似た体格以下の人ならボンネットに座れるはず。
反対側にもキャブがあるのは単機で運転する時にこちらが先頭になるため。CGでは作っていませんが、こちら側の床下には足置き用のステップがつきます。
モックアップ
大凡の寸法を決めたら今度はダンボールでモックアップ作り。まあ適当ですが、サイズの感覚が分かれば大丈夫なのでこれで良いんです。小学生でももっとまともなもの作るとか言わない。
そうやってすぐ線路に載せて遊ぶ……。
続きを読む
模型鉄道「福堀軽便鉄道」のこと
ただ、この時、運ぶのとかものすごい大変だった(どうしても親の車で送ってもらわないといけなかった)のと、機関車が軽いから脱線するものと指摘を受けて作ったのがレールバス型のボディ。
ちなみにここでもよく脱線しました。結局、脱線問題は車輪のバックゲージだったので、イベントに参加していた保津川ライブスチームクラブ様にお邪魔し、直してもらいました。
映画「俺ら、夏鳥」CG奮闘記
- 3DCADの機体データをもらう
- 上記データを元に本編カット用モデルを起こす(Maya & Blender)
- 動きをつけ、質感の追い込み(Maya & Blender)
- 実写素材等とのコンポジット作業(After Effects)
- 本編編集タイムラインへの組込(DaVinci Resolve)
※CGスタッフメンバーのMayaユーザーがいたため当初はMayaがメインツールになっていました。ただ最終的にはCGパートも私がまとめていたためBlenderがCGパートの主力となりました。
今回の作品には2機、説明カット用を含めると合計3つの人力飛行機の3DCGモデルが使われてますがいずれも私はモデリングしておらず、人力飛行機関係者が作ったモデルをお借りして加工してます。
左:主人公チームの機体「夜鷹」(ベース機体 首都大学東京鳥人間部T-MIT「 Elcano」)
右:ライバルチームの機体「カシオペア」(ベース機体 大阪府立大学 堺・風車の会「AZALEA」)
左の切り出しにある発進台もBlender界で名のしれた方にお願いしました。この中で私が作ったのはターンマーカーのコーンだけです。
自主製作映画「新代 鶴舞伝説物語」製作記
2015年以来のBlender Advent Calendar企画の記事になります。前回は卒業制作「空花瓶」で3DプリンタとBlenderの話をしました。
それから3年が経ち、再びBlenderを使い作品を作ったのでこの企画に戻ってまいりました。が、正直に申し上げます。ワタクシ、Twitterを賑わす他のBlenderユーザーのように腕はあがっておりません。全く上がっておりません。
ということでこのようなアンケートをTwitterでやったところまさかの、「企画から最後まで」についての要望が多くなってしまいました。なので、今回は実写あり特撮ありCGありの短編の自主製作映画「新代 鶴舞伝説物語」についてBlenderに限らず広くこの製作について書こうと思います。
まずはBlendxJP3でも上映した今作品の特報をご覧下さい。なお、こちらの特報はまだ一切のエフェクトが入っていないものになりますのでその点ご了承を。
企画の発端
時は2016年3月。今住んでいる地元の映画祭で入選(一次審査通過)したものの入賞は果たせませんでした。「入賞」を目標としていただけに、次出す時は「グランプリを取れるものを作ろう」とだけぼんやりと考えていました。
本当はこの翌年にリベンジをするつもりだったのですが、この時はまだ別の自主製作映画「俺ら、夏鳥」の撮影が終わらず今年まで持ち越しになりました。
*1
シナリオの構築
映画を作り始める時、私はあらすじを書いてから企画書とシナリオを同時並行で作るのですが、今回はどのように物語を考えたかを簡単に書こうと思います。上記の特報では物語までは分かりづらいので映画祭に出した際のあらすじを以下に記載します。
「鶴舞伝説」を知っているか。過去、戦で成果をあげたにも関わらず鎌倉に入れなかった源義経が宝物を埋めた時、鎌倉に 飛んでいく鶴を見て悲しんだという話だ。この話が伝わる大和市・浅間神社にこの宝物が本当にあるのかと女子大生が探しにやって くる。先に来ていた一人が境内で折り鶴を見つけた時、一夜の物語が始まる。
という事で地元に神社に伝わる「鶴舞伝説」を元にしています。
今回は出品する映画祭が、地域に強く根ざしたものなので地元のネタを使ったシナリオは考えていました。その中で地元の伝説を使ってやろう、そして自衛隊の基地もあるからうまく使えないかと言うことで怪獣ものよろしく伝説を具現化させて自衛隊と対峙させよう、という発想に至ります。
ここまで考えたら今度は地元の伝説を調べる事になります。地元の神社や資料館に出向いてみたり、インターネットで色々検索してみたりして使えそうな伝説を探し回りました。そこでネタにすると決めたのが今回の伝説。タイトルまんまなのでぜひリンク先を見てみて下さい。それを元にあらすじを決めました。
そこから話を少しでもリアリティを持たせるために詳しい人に話を聞いたり、自衛隊の基地公開にでかけたりしつつ企画書とシナリオを進めていきました。
仲間のこと
映画を作っているとよく聞かれるのが「役者ってどうしていますか?」と聞かれるので話しておきましょう。
現状、過去の作品にお世話になった人の中で、登場人物に合いそうな方に声をかけていきます。また役者の知り合いが居そうな方にも企画書やシナリオを送ったり、演技未経験者でも登場人物の雰囲気に合えばお願いしたりすることもあります。
ネットで時々募集することもありますが個人的には好きではありません。学生の頃、インターネットで広く募集しようとして面倒な人に絡まれた事もあるので抵抗があります。
知り合いの知り合い、という形でつながりを辿っていく形の方がチームを維持しやすい、というのもあります。
スタッフについては基本私一人で運用できるようにしてありますが、撮影日程が決まれば大学の同期などに声かけて来て貰うようにお願いしています。なかなか来て貰える事は少ないですが。
プロダクション進行
シナリオ、キャストが決まりそのまま撮影、というわけではなくスケジュール調整やロケ交渉などもしています。
さて、今回の作品、本当は8月頃にはキャストを決めて9月にクランクイン。10月下旬にクランクアップ、12月中旬に映画祭の締切があると踏んでいたのですが、ここでとんでもない事実が発覚します。
「今年のこの映画祭の締切が11月15日」
自分が出した時も、その次の年も同じ時期に映画祭を開催していたので締切の時期も同じだろうと思い込んでいたのが裏目に出てしまいました。想定よりも1ヶ月早い上に更にキャストの決定が遅れている状況だったので、いくつか考えを見直して製作のスピードを上げる事に。撮影においてはlogかつ4K10bitでの撮影を考えていたもののポストプロダクション環境が不十分なので処理が追いつかないのでシネライクガンマで1080pで撮影。音声も本当はレコーダーで別に収録するつもりをLINE OUTからカメラに音声を流し込む形で使用しました。
それに編集は他の人にお願いして自分はVFXに集中する予定だったのですが、編集・VFXを並行して行うために合成がなくかつ撮影が早めに終わったシーンのみを別のスタッフにお願いする事にしました。
さて、撮影の様子はこんな感じ。嘘です。撮影後におふざけで撮ったものです。
使用したカメラはパナソニックGH5s、マイクはゼンハイザーMKE600、レコーダーはZoom H5という具合。
撮影回数は3回ほどでしたが、実時間的には1日半程度です。特撮カットなどの撮影を含めると実時間で3日分ぐらいになりそうです。
ここからはちょっと凝った撮影について少し取り上げたいと思います。
空撮
エンディングや本編の素材としてあまり目立たないもののドローンを使い空撮を行いました。特報には入っていませんのでどこでどう使われているのかは上映をお楽しみに。夜の神社で飛ばしています。
前述の通り、ここは自衛隊(と米海兵隊)の基地がある町。簡単にドローンを飛ばせるわけではありません。いくら人口密集地の飛行と夜間飛行について航空局から許可を持っていても自衛隊のやり取りは楽ではありませんでした。最初の問い合わせの時はたらい回し。
ご覧の通り最終的には無事に許可は降りました。もう少し基地に近い場所だともっと大変だったかもしれません。
特撮
自衛隊が出てくると書きました。となると自衛隊のメカも出さないと面白くないですよね。という事で今回は哨戒機のP-1が出てきます。
ここはCGでやろうとも考えたのですが、学生時代に特撮をやっており、ウルトラマンなどのT監督と交流のある後輩が東京に来るという事で彼に手伝ってもらってミニチュア特撮をする事にしました。
飛行機のモデルは1/300のエフトイズのP-1です。後輩には「この小さいのでやるんですか!?」って言われましたけれども……。
機体の見える角度が変わらないカットであれば、照明を仕込んで静止画を撮影。旋回などがあるシーンは三脚に棒を固定しその上に飛行機のミニチュアを固定し、パン棒を使って動かしたのをスローモーションで撮影しています。
CGカット
さてここからBlenderの話をします。使いどころはこちらの折り鶴。劇中では鶴舞伝説の宝物が具現化した鶴(巨大飛行物体)として出てきます。街の上をこいつが飛びます。
実は特撮で模造紙とワイヤーで巨大折り鶴を作ろうかと思っていたのですが、試行錯誤の末断念。理想の形と動きをミニチュアの操演でやろうとする人数も時間も足りず、CGでやることにしました。
で、実際に作ったモデルがこちら。簡単なものです。モデル自体は実はシナリオを書いていた頃から作っていたのですが、いい感じのフォルムが出せず羽根の角度や尾の形に随分悩みました。メッシュでCubeから作り、形ができたところでモディファイアでワイヤーにしました。
かといって折り鶴ってそんなに鶴に見えないんですよね。今回改めて感じました。
ボーンも至ってシンプルにして制作時間を減らしています。実は生まれてこのかた初めてボーンを使ったものを作品に取り込みました。エチュードでは何度かやっていますが。
羽ばたきの動きについてはYouTubeにあるオーニソプターの動画を参考に動きをスケッチ、どこにキーポイントを置くか決めて動きをつけました。
色も単色の予定だったのでマテリアルもいい感じになるように適当にやってます。見せるのも恥ずかしいですが。ただそれだとメリハリが出てこないので胴体中心部などに照明オブジェクトを仕込みました。そうするとちょっと幻想的になりますよね。ならないか。
CGの照明のいいところって見えなくする事が出来るところですよね、照明本体が。実写だとこうは行きませんから自由自在です。そこ、テクスチャでやれとか言わない。UVやってる間に2ヶ月過ぎちまう。
レンダリングについては出力時間を短くするためサンプリング数も低めどころか最低値で出してエディット及びコンポジットの作業に移行します。
ポストプロダクション
今回のワークフローをチャートにするとは以下のような形。
AfterEffectsとPremiereが同じ位置に居ますが、先にPremiereで編集して尺などを決めてからAfterEffectsでコンポジットしています。そのコンポジットの結果を踏まえてカットごとの尺やカットつなぎを確認します。
上の画像がBlenderのcyclesでサンプリング数最低値で出したもの。大着してAfterEffectsの作業中の様子をスクリーンショットを撮ったものを切り出しているのでなんか真ん中に出ていますね。すみません。
そんな事はさておきこれに色々足していくと以下のようになります。
足したもの:飛行機、飛行機のランプ、背景の雲、ぼかしのエフェクト
楽しい! そして重い!
ただやり込み始めるときりがないので締切までの日数と相談しながらどこまでやるかを考えていきます。やりたいものの諦めた事もありました。
そしてこのあたりで締め切りに関して新しい情報が入ってきました。
「締切が15日から30日に延長」
映画祭のTwitterでそんな情報が出ていました。Twitterだけでは不安だったので念の為事務局に連絡を取り確認。本当に延びていたので更に追い込めるところまで追い込んで完パケとなりました。
完成してからの話
自主製作映画を上映できる機会は映画祭で機会を得る以外には現状あまりないのが現実です。「俺ら、夏鳥」では1時間の中長編という事で単独で上映会を実行しましたがこんな事が出来る作品も稀だと思いますし、10分に満たない短編を単独で上映をやるのも難しいでしょう。
「新代 鶴舞伝説物語」においても元からエントリーを目指していた映画祭以外の上映についてはあまり決まっていませんでした。ただ巨大な鶴が出てくるということでいずれこちらの映画祭にもエントリーしようと考えています。ここでもT監督の名前がありますね(笑)。ただどちらも上映が確約されているわけではありません。
というところで厚木のプラネタリウムである持ち込み上映会があることを知ったので今回はそこが初の上映となります。
行く!という人はこちらのページから申し込んで下さい!
またロケ地で協力してもらった浅間神社に年末年始には本作品のポスターが出されることになっています。実はここに乗せるQRコードを読むと専用のYouTubeのページに飛ぶようになっています。宮司さんが参拝の待ち時間に楽しんでほしいとの事でこの企画が実行になりました。
YouTubeやVimeoにあげれば誰にでも見てもらえる時代ですけれども、やっぱりスクリーンの大画面で皆で観たいですよね。見終わった後にあれやこれやと話せるのも楽しいですし。こういう場もいずれは自分で作れるようになりたいなとは思っています。
BlendxJP3の懇親会で上映会をやったのもこういう思いがあって、昨年のBlendxJP2が終わった時に「懇親会でこういうのやれるんだったら作品集めるよ」って私が主催の鳶さんに言ったのが始まりでした。