雪の夜、彗星探しの日記(弐)

雪夜彗星のブログ。内容も更新頻度もまちまちです。「弐」なのははてなダイアリーから移行したので。

3DCG初心者がBlenderを卒業制作に取り入れてみた話

 初めての方は初めまして。この企画への参加記事になります。私みたいな3D初心者がこんな記事を書くのは憚られると思いつつも、筆(キーボード?)を進めていきたいと思います。

 いきなりですが、大学の卒業制作でこんな映画を作っています。

 「からかびん」と読みます。SFらしくないタイトルですが、SFです。言うなれば、少し不思議、といった感じのお話です。CGアニメーションではなく実写ドラマです。私の専門も本来は実写の撮影なので。

スペースプレーン「バタフライ号」

 さて、この記事の主役はこの映画の登場するオリジナルのスペースプレーン「バタフライ号」のモデルです。このモデルを含めこの映画に登場する3Dモデルは最終的にblenderで調整してレンダリングを行っています。モデリングに関しては制作のスタッフそれぞれ扱いやすいソフトでやってもらいました。またミニチュアとCGカットが混在すると事もありより手軽にフォトリアルなレンダリングが出来るCyclesレンダーを使いました。

 Cyclesでレンダリングした「バタフライ号」がこちら。

 雑いですね、突っ込まないで下さい(笑)。
 そしてこちらが3Dプリンタで出力して塗装したもの。

ウェザリングは大学の助手の方がやってくれました。全長は約40cmもあります。
……ガッツイー◯ルに似てるとか言わない。DreamChasarとかLnxyとかと似ているとかなら認める(笑)。

 Blenderでの編集中の様子はこんな感じ。

上面に色々ディテールアップパーツがついていますが、これらが無い状態(別オブジェクトだから問題ない)でstlファイルに変換、3Dプリンタで出力しました。出力に使用したのはUP PlusとDaVinci2.0でどちらも大学にあるものです。ディテールアップパーツはあとからプラモのジャンクパーツなどを貼り付けてあります(それに応じて3Dデータの方も修正しています)。
 具体的にどうやって3Dプリンターに出したかは去年のこの企画にあったnbngさんの記事を参照してもらった方がいいかと。本当にこれと同じ手順だったので……。ちなみにサイズは3Dプリンタ出力用ソフトウェア上で変更しました。

 ただ、冒頭に書いたとおりこのモデルは40cmもあります。方向をどう工夫してもそのまま前述の3Dプリンタで一度に出力するのは不可能です。なので適当にナイフツールで分割し、モディファイアの「厚みつけ」を適応、ドンガラ状態にして出力しました。上の画像はUPの出力ソフトウェア上での様子です。UPのmac用ソフトウェアってwindows版と違って随分使いづらいんですよね……。

出力したドンガラや翼の接合の作業中がこんな感じ。

これらをパテを使って接合した後に、金ヤスリとアセトンを使って表面処理をしています。それから塗装して完成!!

合成とCG

 撮影の話では無いのでとりあえず「スタジオでグリーンバック使って撮影した」とだけ言っておきます。撮影後はとりあえずAfter Effectsに持ち込んでキーイングで切り抜き、背景素材と合成したりしてこんな感じになります。ちなみにエフェクトは主に別のスタッフがやってくれました。

 背景のロケ地は奈良県・曽爾高原。ドラマパートの撮影もここでやらせて頂きました。
 
 前述の通りCGアニメーションblenderを使っているのでCGカットのお話もしておきましょう。普通にキーフレーム打ってるだけなので、Blenderの話はほぼありませんが。

 CGカットでこんなカットなどがあります。Blenderでは宇宙機本体のアニメーションしか書き出していません。それをAfterEffectsのキーイングで抜いて素材を合成しています(これを作った時、背景を透過に出来る事を知りませんでした)。煙もblenderで出せますが、Cyclesを使っていたこととか、後からの合成のしやすさを含めてAfter Effectsでやりました。

 3DプリンタとCGモデルが混在したカットだとこんなものがあります。

 こういうカットの場合はミニチュアの実写カット、CGカットをキーイングで抜いて背景を合成、それからエフェクトをかけて行って調整しています。

 「空花瓶」は現在も制作進行中なのですが完成したら卒業制作展で外部の方にも見れる機会があるので詳細が決まりましたらTwitterで告知をさせて頂きたいと思います。

 僕自身、mayaや3Ds maxはあまり使ったことがないので分かりませんがミニチュア映像とCGアニメーションを混在させる時に3Dプリンタのデータ(stlファイル)を簡単に出力出来るblenderはおすすめできるんじゃないかと……。
 ちなみにこのバタフライ号は初めてのBlenderモデリングでした。以前はMetasequoiaモデリングをしてライティングとアニメーションをBlenderでやっていたので……。ちなみに大学のPCにBlenderが入っている、とかではなくて私の通う学科には映像系にも関わらず3DCGを扱える環境がほぼゼロで教えてもらえる先生もなかったので自分で環境を整えてきた感じです。
 3Dプリンタは他の学科の物を借りて使いました。

 ちょっと宣伝。
 12月16日から25日まで私の大学で3Dプリンタや切削機を使ったものの展示会をやっているので詳しい事が気になる方はコメントやTwitterなどから連絡を頂ければ詳細をお送りできます。バタフライ号も展示されます。外部の人も入ることができるので、よろしければどうぞ。Twitterアカウントは @sncomet です。下らないことしかつぶやいていません。

 明日はc5h12さんです。Cyclesのお話ということで、楽しみです。